沙羅双樹

当蔵の『沙羅双樹』シリーズは、日本を代表する酒米兵庫県特A地区産の山田錦を100%使用し、職人たちの丁寧な手仕事で醸されています。その昔、日本酒は「温度の芸術」と言われていました。まだ温度計のない時代、酒造りにとって重要な温度管理を杜氏が自身の体温を基準にしていたからです。
「温度の芸術」と言われる日本酒ですが、音楽や絵画のような芸術とは異なり何世紀も後世に残すことが叶いません。
すなわち日本酒は「無常の芸術」といえるのではないでしょうか。白鴻大吟醸『沙羅双樹』の名前はこの無常観に由来します。

白鴻 大吟醸「沙羅双樹」
十五年古酒

十五年古酒

『沙羅双樹』シリーズのハイエンドモデルが《白鴻 大吟醸「沙羅双樹」十五年古酒》
土蔵で十五年間じっくり熟成させた長期熟成酒です。
温度・湿度がほぼ一定の土蔵は香味成分の発散が抑えられ紫外線による影響もなくゆっくりと熟成が進みます。時の流れは透明な大吟醸酒を琥珀色に変えひとくち口に含めば、十五年間封じ込めてきたドライフルーツのような上品な熟成香と軽やかでなめらかな味わいが瞬く間に花開きます。
おすすめの温度は、冷やし過ぎず室温もしくは人肌に温めてお楽しみください。過ぎ去りし十五年の歳月に思いを馳せながら特別なひとときをお過ごし頂ければ幸甚に存じます。

金唐紙

ボトルのラベルは「金唐紙」という工芸品を採用しています。金唐紙とは金属箔を施した和紙に凹凸加工をつけ、ワニス、彩色をして仕上げた壁紙のことで、ルーツはヨーロッパの金唐革にあります。明治時代になって革の代わりに和紙を用いて、きらびやかな文様、彩色をして仕上げた壁紙「金唐革紙」が誕生。ウィーン万国博覧会をはじめとして欧米で高い評価を受け、バッキンガム宮殿など歴史的建造物にも使用されました。国内では、鹿鳴館や旧岩崎久彌邸など明治を代表する西洋建築にも用いられています。
その後、時代とともに新しい壁紙材の誕生やデザインの流行の移り変わりなどにより金唐革紙は次第に衰退、昭和30年代には消滅してしまいました。
しかし1984年、旧日本郵船小樽支店の修復事業において、東京文化財研究所の依頼を受けた上田尚氏が現代版の「金唐革紙」を復元することに成功、「金唐紙」と命名されました。呉市入船山記念館内にある旧呉鎮守府司令長官官舎洋館部に使用されている壁紙も、金唐紙研究所によって1996年に修復・復元されたものです。
そんな「金唐紙」に魅了され、十五年古酒の発売にあたり金唐紙研究所代表の上田尚氏に製作を依頼。旧呉鎮守府司令長官官舎洋館部客室に使用されている壁紙【草花と昆虫】をラベルとして使用することが叶いました。お酒を堪能された後は、ぜひラベルをボトルから剥がして額などに入れて頂き、美術品のコレクションとしてお楽しみください。また、この機会に《白鴻大吟醸「沙羅双樹」十五年古酒》が誕生した呉市や、「金唐紙」のある呉市入船山記念館に足を運んでいただければ幸甚です。

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